【事務長】町内会衰退の先に見えるもの

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どこの地域でも同じ課題を抱えているものと推測するが、町内会組織の加入者数が減少していることについては言うまでもないだろう。考え方として「町内会に入りたくなるような組織づくりの推進」あるいは「加入者が多いからこそあらゆることへの挑戦が可能」どちらが正解なのか、卵が先か鶏が先か、ひよこも悩みそうな壁に直面し、乗り越えたくても乗り越えられそうもない高さだからこそ、”永遠のテーマ”として位置づけられているのかもしれない。

2021(令和4)年の人口統計データによると、苫小牧市は北海道内でも帯広市や釧路市を抜いてランキング4位になった。しかし苫小牧市の人口は17万人をギリギリ切っており、1つ上位で3位の函館市は約25万人だそうだ。苫小牧市の総合計画の旧基本構想で見込んでいた人口は最大でそれこそ25万人、前基本構想では17万人、そして現行の基本構想では16万人台後半と謳っている。人口が減っている要因は様々考えられるが、分かりやすいものでいうと共働きやキャリア重視の働き方の増加による晩婚化、出生率の低下に関連して見える高齢者層の増加、いわゆる「少子高齢化」だろう。

※「少子高齢化」という言葉の使い方が私は正しいとは思わないがその話は割愛する。

地域にこどもが少ないから町内会が発展しない、という”そもそも論”をされてしまうと返す言葉もないが、私はまだ町内会組織の有用性には期待したい。登下校見守り等、こどもが安心して生活できる地域にしなければならないだろうし、反対に高齢者の見守りも当然必要だろう。2011(平成23)年に発生した東日本大震災、2018(平成30)年に発生した北海道胆振東部地震に代表する災害時に、その地域の何人も被災している中で助け合えるのは、地域の絆に他ならない。隣同士、近所同士が助け合って乗り越えられる部分も大いにあったのも事実だ。

しかし問題は少子高齢化だけはない。都市圏でも地方でも共通だと思うが、一番は組織運営する人手の不足である。いわゆる「役員のなり手不足」というのは、若い世代が働いているから引き受けられない、面倒ごとに巻き込まれたくない、町内会に入らなくても全く問題ない等の理由で「町内会離れ」が急速に進行しているからだろう。確かに、ボランティアが基本である町内会で、自分の家のことも大変なのに何で他人のことをしなければならないのか、という考え方もできるが、自分が大変なときに助けてもらえるかもしれない、という先行投資的考え方もまたできるだろう。

どこの町内会も「加入者減少、町内会離れ」「役員のなり手不足」の問題に直面しているが、その中でも「時代は変わったな」と思う前向きな部分もある。例えば、紙面での広報活動がFacebook等のSNSを利用したものにシフトしたり、役員の連絡網やイベントの出欠管理にLINEを使ったり、イベントの参加費徴収を電子決済にしたりと、今の時代を生きる保護者やこどもに合わせた形に変わってきている。一言で言えば「今までの町内会のやり方や形が古かったから、若い世代が入り込みにくかった」と解釈できるということだ。諸行無常、社会と意識の変革は時代の流れと共にするだろうが、町内会組織においても柔軟な考え方と世代にフィットした形を模索することが必要だ。他都市や他地域のやり方も取り入れつつ、変化を楽しみながら地域と時間を共有することができなければ、行き着く先、衰退の先には暗い未来しかないだろう。「交流なくして発展なし、発展なくして未来なし」である。

//執筆:事務長
//更新日:毎週土曜日9時頃
//コンセプト:"誰も読まない"

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