【事務長】国の借金は国民の借金?

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いやいやいや、んな訳あるかいなって話なんですけどね。小学生の頃、社会の授業の時に「国の借金は○○兆円あって、国民一人あたりは…」なんて言われて「そんなの払えないよ」とボソっと言った記憶が蘇る。そして今ではなんと日本の借金が1秒間にどれぐらい増加しているかを示す「借金時計」というウェブサイトがある。これはいかがなものか。ちょこっとだけ記事を残しておこう。

そもそも国の借金についてだが、恐らく大きな誤解がある。結論から言うが1,200兆円を超える借金は「政府の借金」である。混同しては困るが、国の借金というのは海外通貨建てで借りる金で、政府の借金というのは基本円建て、国債になっている。簡単に言うと、「国が他国に対して借金をしている」のではなく「政府が国民に対して借金をしている」ということだ。つまり広い意味で言えば、私たち国民が政府に金を貸している訳で、決して私たちが借金をしている訳ではない。これがどういう理由か、借金を国民が負担しなければならないというデマが流布し、日本にはお金がないだの、増税が必要だの、財政破綻寸前だのと悪い印象を与えてしまっている。

新型コロナウイルス感染症が流行し、幾度となく補正予算を決定し、様々な対策費用を政府が捻出した。その主たる使途が事業者向けの補助金や助成金で、もちろん国債発行による調達である。税収によって賄えなくなった分はこうして国債を通して政府が借金をしているが、先述の通り、国内のおよそ350万社の会社を倒産させず、事業活動の継続を支援するような取り組みに対する借金は悪い借金ではないだろう。それでもコロナ禍で苦しい思いをした事業者は身の回りでも、もしかしたらご自身でもあるだろうし、耐えきれなくなった事業者は約30万社倒産してしまった。私個人の考えだが、むしろ「30万社でとどまった」という考え方もある。もし政府が間違った認識を持った民意に応え、国債を発行せずなんの対策もしなかったら…ということはないだろうが、想像するにそれこそ日本の破綻があったかもしれない。

この記事で強く言いたいのは「国の借金」と「政府の借金」は考え方がまるで違うということだ。対外純資産残高が400兆円を超えて世界1位である日本の財政基盤はそんなに脆くない。情報化社会となり、情報に溢れる生活を送っている私たちが、「何が正しくて何が正しくないのか」を個々に正しく判断しないとならないが、間違った情報に翻弄されず、事実と証拠に基づいて政治と接しなければならないだろう。とはいえ、私も毎日迷惑メールに騙されそうになっているのはまだまだ”修行”が足りないのかもしれない。

//執筆:事務長
//更新日:毎週土曜日9時頃
//コンセプト:"誰も読まない"

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