秘書なんかいらんだろ…と思った方、実は私もそう思っていた。そもそも秘書が必要になるだけの仕事量なのかという疑問もあるだろう。国会議員には何名もの秘書がいて、市議会議員には秘書がいることの方が珍しい、というかほとんどいない。よりよいまちづくりという大義名分の下、しっかりとした仕事をしてもらうには秘書をつけてしまえば”言い逃れはできないだろう”。
ちなみに国会議員の秘書には2種類ある。国費で賄われる公設秘書、そして必要に応じて議員のポケットマネーで自由に置ける私設秘書だ。公設秘書の中でも、有資格者である政策担当秘書は、政策担当秘書資格試験に合格した者でなければなることができない。さてその秘書は普段どんなことをしているのだろうか?国会と地方の議員秘書で仕事の内容も異なるが、大まかに言えば事務全般はもちろんのこと、イベントや懇親会等の代理出席、挨拶回り、運転手等々…議員活動の裏方として大変ご活躍されていることだろう。その激務の裏、給与の話となると公設秘書でおおよそ月40万円以上、私設秘書はまちまちだが平均で月25万円以上だそうだ。当然公設と私設によっても、議員によっても仕事量は大きく開くだろうから、参考程度の数字であることをご理解頂きたい。
苫小牧市議会議員の報酬は令和2年度の調査で月44万円で、北海道内では7位であった(旭川市で人口約34万人、議員定数34、議員報酬月51.5万円)。ちなみに議長は月52万円、副議長は月48万円で、苫小牧市の議員定数は28であるから、全体の議員報酬は次に示すとおりとなる。
議長520,000円+副議長480,000円+(議員440,000円×26)=12,440,000円/月
政治山・北海道苫小牧市の人口・財政・選挙・議員報酬(https://seijiyama.jp/lgov/01/12131/)
12,440,000円×12か月=149,280,000円/年
とまぁ各種手当てを除外してもざっくり1.5億円ぐらい支払われていることになる。個人的には「貰いすぎだ」とは思わないが、一市民の見方としてはこれだけの報酬を受け取りながら普段何をしているかよく分からないという事態になっては市民の睨みも厳しくなるだろう。秘書報酬の財源については議員の報酬を下げ充当したり予算を新たに付けたり色々考え方はあるだろうが、多方面から反感を買うだろうからこの際持論は展開しない。他自治体を例に挙げると「1議員に対して1秘書」ではなく、会派に対して秘書を置いているところもある。いわゆる秘書の共有だ。現在苫小牧市議会には6つの会派と1つの無所属、計7会派が存在している。そこに議席数に応じた数の秘書を置き、政策対応や資料作り等の仕事を持たせ、議員は空いた時間を本来の議員活動の時間に回す。議員にしかできない仕事も当然あるだろうから、そういうものに集中して取り組み、しっかりと密度のある仕事をしてもらうためには、資料作り等の事務庶務雑務は他に持って貰った方がいい。企業に置き換えてみれば、社長がいて事務員がいて、という環境となんら変わりない。
私の個人的見解だが、議員報酬は単に下げるべきではなく、その報酬が適正でないと考えるならばそれ相応の仕事量にするべきである。そしてくどいようだが「市議会議員が普段どのような活動をしているか」というのは、市議会中継のみならずあらゆる方法によってしっかりと情報発信をするべきだ。まだまだ地方議員の情報発信力は高水準とは言えないが、それすらも秘書が代行することによって解決に近づく一歩となる可能性は大いにある。レベル(質)の高い仕事をこなしてもらって、将来有望なまちづくりを推進するにはこれぐらい大きく出ないと改革とはならないだろう。
//執筆:事務長
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